1979年に、シュガー・ヒル・ギャングが「ラッパーズ・ディライト」をリリースすることにより、ヒップホップ界で初めて成功を収めた。

次は、ブロンクスでヒップホップを発展させてきたアフリカ・バンバータやグランド・マスター・フラッシュの番だと想像をしてしまう。

しかし、彼らの曲はリリースされたもののコアであり、一般の人々には、まだまだ早すぎたようだ。(グランド・マスター・フラッシュのファースト・シングル、”スーパー・ラッピン”等)

そこで、1979年11月、クイーンズのラッパー、カーティス・ブロウが成功を収めるのである。

カーティス・ブロウとは?

ハーレム出身のカーティス・ブロウは、RUN・DMCのRUNの兄であるラッセル・シモンズ(あだ名がラッシュ)がマネジメントをしていた。

ラッセルシモンズと言えば、あのデフ・ジャム・レコードの創設者であり、ヒップホップ界では有名すぎる存在だ。

彼らは、ラッシュの地元であるクイーンズのクラブで、よくパーティーを主催し、ラップやDJを披露していた。

次第に、カーティス・ブロウは若者達に支持される存在となる。

※ラッシュの弟であるRUNは、カーティス・ブロウの影響を受け、彼のステージでMCを披露していた。客からは「カーティス・ブロウの息子」と呼ばれていた。

ビジネスマンであるラッシュの巧みな売込もあってのこと、1979年11月に、シングルの”クリスマス・ラッピン”をリリースする。

なんと、全米ポップチャートで30位まで上り詰め、ヒップホップで初めてメジャー・レーベル “マーキュリー・レコード”との契約を果たした。

カーティス・ブロウは、アーティストとして一般人にも認められる存在になった。

サンプリングではなく、バンド演奏のファンクや、ダンス・クラッシックにラップを載せているような、弾けるパーティー・ラップは誰もがいいと言うだろう。

“ザ・ブレイクス”は、ヒップホップ初めてのゴールド・ディスクを獲得した。

Kurtis Blow / Kurtis Blow

カーティス・ブロウは、メジャーレーベルからデビューしただけに、バンド演奏の技術が高く、すごくお洒落な曲に仕上がっている。

ヒップホップファンのみではなく、ソウル、JAZZ、ヒュージョン、ダンス・クラッシックファンにも楽しめると思う。

彼のようなサウンドでラップするアーティストは、残念ながらヒップホップ界には、他にはいないと思う。

■お勧め曲

  • 1.Rappin’Blow(Part2)
    間奏に入るピアノソロが最高!
  • 2.Breaks (ブレイクス)
    名曲中の名曲。男のFunk系。お洒落すぎる!
  • 8.Chrsitmas Rappin’ (クリスマス・ラッピン)
    マーキュリー・レコードからのデビュー・シングル。後には女性グループ、ナダナフがカヴァーしている。

カーティス・ブロウは、ヒップホップで初めて、レコードのジャケットに自分自身の写真を掲載した人物だ。その理由は、写真を見れば分かる気がする。なんせ、イケメンの顔をしている。

これは、ビジネスマン、ラッシュの仕業なのか。アイドルに仕立てようと企んだのではなかろうか。

Best Of / Kurtis Blow

初期はダンス・クラッシク系だが、徐々にRUN-DMCっぽくなっているのが分かる。

■お勧め曲:ほぼ全部(事実)

  • 4.Starlife
    貴重なダンス・クラッシク系であり、1枚目のアルバムには入ってない。やはりピアノ・ソロがある。
  • 8.Million Stories
    Run・DMCが競演している。
  • 10.Basket Ball
    バスケット・ボールを熱く勝った曲。女性コーラスが最高だ!
  • 13.If I Ruled The World
    この曲名を知っている人は多いと思う。カーティス・ブロウの”If I Ruled The World”とフーディニの”Friens”をたして2で割った曲が、1996年、Nas feat ローリン・ヒルのヒット曲、”If I Ruled The World”なのだ。

カーティス・ブロウの、2枚目移行のアルバムを紹介させて頂きたいのだが、残念ながら、CDはなかなか売ってない。彼は現在、オールドスクールのラジオDJやプロデューサーなどをしているようだ。

以下3枚のオムニバスはカーティス・ブロウのセレクトであり、この3枚を聴けば、ヒップホップの誕生からオールドスクールまでの音楽が分かる。この3枚こそ、歴史そのものだ。

残念なことに、店頭ではまず売っていないが、インターネットでも在庫切れが多い。

Kurtis Blow Presents The History of Rap: Vol. 1

ブレイク・ビーツやファンクの名曲がギッシリ詰まっている。また、本当の意味でのヒップホップ初の曲が収録されている。

お勧め曲は12曲目の「King Tim Ⅲ/ファットバック・バンド」。あのラッパーズ・ディライトより数ヶ月早くリリースされた、本当にラップ最初の曲、キング・ティム・Ⅲが入っている。なんとなくドリフのコントで使われそうな曲だけど、かっこいい。

Kurtis Blow Presents The History Of Rap: Vol. 2

オールド・スクール初期のヒット曲が入っている。

Kurtis Blow Presents The History Of Rap: Vol. 3

Run・DMC以降くらいのオールド・スクール・ヒット曲が入っている。

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グランド・マスター・フラッシュの伝説の曲「ザ・メッセージ」

1979年に、シュガー・ヒル・ギャングの「ラッパーズ・ディライト」がメジャー・デビユーを果たした。

そして、ストリートのアンダーグランドな世界で、HIP・HOPを発展させてきたアフリカ・バンバータやグランド・マスター・フラッシュは、実力を世間に見せ付けるチャンスが到来した。・・・