1979年に、シュガー・ヒル・ギャングの”ラッパーズ・ディライト”がメジャー・デビユーを果たした。

そして、ストリートのアンダーグランドな世界で、HIP・HOPを発展させてきたアフリカ・バンバータやグランド・マスター・フラッシュは、実力を世間に見せ付けるチャンスが到来した。(クール・ハークは特に目立つ行動はしなかった)

そして、今はでは伝説となっている数々の曲をリリースしていった。

ヒップホップ元祖の行動

ラッパーズ・ディライトのリリース直後、グランド・マスター・フラッシュは、エンジョイ・レコードからファースト・シングルである「スーパー・ラッピン」をリリースした。↓

一方、アフリカ・バンバータのメジャー・デヴューは、1980年に、ソウル・ソニック・フォースのファースト・アルバム「ズールー・ネイション・スロウダウン」をプロデュースする形だった。↓

残念なことに、彼らの曲は本物のストリートで培ってきた音楽であり、B・BOYには受け入れられたが、一般人にはまだ早過ぎたようだ。

だが、ヒップホップの元祖達は、このままでは終わるはずがなかった。

時は経ち、1982年、彼らはヒップホップの歴史を大きく塗り替える曲をリリースした。

アフリカ・バンバータの伝説の曲

アフリカ・バンバータは、ドイツ出身のテクノの元祖である、クラフトワークのシンセサイザー・サウンドを導入した曲「プラネット・ロック」をリリースする。

今までのヒップホップは、生バンド演奏をしていた曲が多かった訳だが、アフリカ・バンバータは、シンセサイザーを導入し、新たなヒップホップを完成させた。

この曲は、ヒップホップだけでなく、テクノ業界まで影響を及ぼし、今日でも、数々のテクノ・アーティストがカバーをしている。(ケミカルブラザーズなど)

Looking for the Perfect Beat: 1980-1985 / Afrika Bambaataa

左のジャケットが、なんとなく、ターミネーター+ゴリラみたい・・・。

お勧め曲は4曲目の「Planet Rock」だ。この曲は、ヒップホップの歴史に名を残した曲で、重要すぎる曲だ。

この曲は、ヒップホップにおいて重要すぎる曲だ。

グランド・マスター・フラッシュは?

一方、グランド・マスター・フラッシュ&フィリアス・ファイブは、エンジョイ・レコードに所属していた訳だが、ヒップホップ業界で最高潮に達していたシュガー・ヒル・レコードに移籍する。

この時期には、他にも多くのアーティストがシュガー・ヒル・レコードに移籍している。

70年代にブロンクスでヒップホップを発展させてきた1人である、DJブレイクアウトを中心としたグループ、「ファンキー・フォー+ワン」や、マンハッタン出身の早口ラップで評判の、クール・モーディーが所属している「トレチャラス・スリー」などなどが移籍した。

当時、シュガー・ヒル・レコードは、ヒップホップ業界を独占していたと言えるだろう。

ザッツ・ザ・ジョイント/ The Funky Four + 1

ジャケットをよく見ていると後ろの方に女性のラッパーがいる。

元々はファンキー・フォーというグループ名だったが、女性が1人加わったことで、ファンキー・フォー・プラス・ワンとなったのだ。

Turn It Up / Treacherous Three & Kool Moe Doe

後にソロで成功を治めたクール・モーディーが所属していたグループだ。

クールモーディーといえば、LL COOL Jのシンボルであるカンゴールハットを車で踏み潰すといったアルバムのジャケットを発表したラッパーだ。

ヒップホップをふるい立たせた伝説の曲 “ザ・メッセージ”

シュガー・ヒル・レコードの独占時期に、グランド・マスター・フラッシュ&フィリアス・ファイブは、現在では伝説の曲となっている、”ザ・メッセージ”をリリースする。(82年)

そもそも、ラップはパーティー系の曲として育ってきた音楽であり、当時はシュガー・ヒル・ギャングやカーティス・ブロウなどのパーティー系の曲が大ヒットしていた。

そんなさなか、”ザ・メッセージ”は世の中の不平不満、政治社会、ゲットーの苦しみ等を訴えた曲であり、いままでのヒップホップのあり方を変えた。現在のストリート系ヒップホップの真髄といえるのだ。

フィリアス・ファイブのラッパー、メリー・メルは曲のなかで、以下のように訴えている。

「俺を押すんじゃねえ、崖っぷちにいるんだから」
「自分を見失わないようにしているんだ」
「まるでジャングルだぜ、時に俺は自分でも不思議になる。」
「一体俺はどうやって毎日死なずにすんでるんだろう。」

なんて悲惨な人生なのだろうか!

この曲をきっかけに、ヒップホップはパーティー系のライムからメッセージ系のライムへと進化していくのである。

この曲はヒップホップの歴史において重要すぎる曲なのだ!

この曲を知らないB・BOYはまずい。

Message / Grandmaster Flash & The Furious Five

ジャケットをみると、ファッションが、ダボダボではなくパツンパツンだ。これぞオールドスクール!

“ザ・メッセージ”は歌詞の意味は分からないが、メリーメルの熱い魂が感じられる。

テクノヒップホップやしっとり系の曲も入っているすばらしいアルバムだ。大げさかもしれないが、一家に1枚もののCDではなかろうか。

Adventures on the Wheels of Steel / Grandmaster Flash & The Furious Five / Melle Mel

グランド・マスター・フラッシュの最強(3枚組み)のBest。エンジョイ時代からシュガー・ヒル時代まで、ぎっしり詰まっている。

フィリアス・ファイブのメリー・メルのソロ曲も入っている。これを聴けばフラッシュはマスターだ!

お勧め曲はSide1の3曲目である「The Adventures Of Grandmaster Flash On The Wheel Of Steel」だ。この曲は、いわゆるノンストップMIXだ。81年のリリースであり、いろんなネタを複数のターンテーブルでつなぎ合わせ、スクラッチをかましまくっている。

これぞヒップホップだと世間に知らしめた曲だ。この曲も、チェックしといた方がいい。

The Adventures Of Grandmaster Flash On The Wheel Of Steel↓

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